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擁壁に注意

郊外の住宅地として真っ先に思い描くのは、丘陵地帯を切り開いて造られた「ひな壇」の住宅地。
敷地面積が広くて隣家との間隔も充分にある高級住宅地。

陽当たりが良くて明るい上に、道路よりも宅地の地盤が高いので、南道路でも通行人の視線を遮り、プライバシーを守りやすいことが大きなメリットだ。

ひな壇1

とはいえ、これから新規に造成される住宅地は駅から遠くて交通の便が悪く、せっかく一生をかけて一戸建てを建てても、いずれ住民が減少して廃墟になり、資産価値も無くなってしまう。
実際に、タダ同然にしても一向に売れない住宅地が増えてきている。

そこで狙い目は、40~50年前に造成された駅に近い住宅地だ。
駅に近いといっても、郊外の住宅地の地価は嘗てより大きく値下がりしたので、若い人が購入して建て替えが進んでいるところもある。


さて、明るく陽当たりが良くて申し分のない住環境に思えるひな壇の住宅地だが、様々な問題点が潜んでいる。

まず、道路から玄関に至るアプローチの階段。
足腰のしっかりしたうちは良いが、歳をとって歩けなくなり、車椅子になったらどうするのだろうか。
大規模な工事をして、車椅子を押せるくらいの緩やかなスロープを造るしかない。

そしてもっと大きな問題は、擁壁や石垣の耐久性だ。
つまり、建造されて既に40~50年経っている擁壁や石垣が、あと何年持つのかという問題だ。

半永久的な耐久性は無いので、仮に自分の世代のうちは持ったとしても、子供の世代になって、高さにもよるが数百万円から1千万円もかけて造り直すことが必要となる。
つまり、擁壁のある宅地を買うには、子供に負の遺産を残す覚悟が必要ということだ。

実際問題、駅から歩ける立地条件の良い住宅地でも、高い擁壁があるところは、まず買い手がつかない。


ちょっとこれらの写真を見てほしい。

擁壁2

擁壁1

何処にでもある擁壁だが、これらはいずれも既存不適格な擁壁だ。
つまり、建造された時には問題なかったが、その後の建築基準法の改正で、違法となってしまった擁壁だ。

このような擁壁がある宅地に家を新築する場合、3つの方法が考えられる。

・擁壁を取り壊してRCの合法的な擁壁に造り直す
・敷地が広い場合は建物の場所を擁壁から充分に離す
・基礎を深基礎にする

造り直し以外は当初は費用面で心配ないが、地震や大雨で擁壁が崩壊すると膨大な補修費がかかる上に、擁壁の下の隣地に建つ家に被害を及ぼしてしまう。


一方、自分の土地に擁壁が無くても、地盤が高い隣地に既存不適格な擁壁がある場合も注意が必要だ。

というのは、既存不適格な擁壁は「がけ」とみなされるので、「がけ条例」に引っかかるからだ。
このがけ条例が適用されると、建物の位置を擁壁の高さの2倍以上も離すことが必要となる。

敷地がよほど広ければ問題ないが、敷地内の建物の配置がいびつになるので、庭がとれなくなったり、変則的な間取りになったり、極小の家しか建てられなくなってしまう。

とはいえ、擁壁はたいてい上の隣家の所有なので、多額の費用がかかる造り直しを頼むわけにはいかない。
また、もしがけ条例が無くても、このような土地に家を建てたら、いつ崩れてくるかとビクビクした不安な毎日を送ることになる。


そこで、もしどうしても擁壁のある土地が気に入ったら、下記の対策をとることをお奨めする。

1、候補の土地の擁壁が、適格擁壁か不適格擁壁かを不動産業者または行政の窓口に問い合わせて確認する。
不動産業者は、売らんが為に適当な返答をすることが多いので、必ず文章でエビデンスをとっておくこと。
売主が検査済証などを持っていない場合でも、役所などで調べてもらうと過去の確認申請書が出てきて適格擁壁と認められることもある。 

2、不適格擁壁だと判った場合は、擁壁を造り直す費用を、土地の売買代金から値引きするように要求する。
つまり、何の問題もなく家を新築できるように整備する費用を売主に負担してもらうということで、古家付きの土地の場合に解体費用を値引いて貰うなど、一般的な要求だ。

3、敷地の広さと不適格擁壁の位置関係を確認する。
擁壁から充分に建物を離しても、希望の間取りの家を建築できるかを判断する。
これは、地盤が高い隣地に既存不適格な擁壁がある場合も同様だ。

買ってしまってから後悔しないよう、擁壁に注意あれ。

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擁壁についてのアドバイスについて

玉石の擁壁がある中古物件を購入しようとしている者です。

擁壁についての注意点
とても参考になる記事を紹介して頂き感謝いたします。
ありがとうございました。

Re: 擁壁についてのアドバイスについて

コメント、ありがとうございました。
お役に立ちそうで、幸いです。
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夢の一戸建て

Author:夢の一戸建て
家造りに関する素人向けの書籍は沢山出版されていますが、間取りやデザインに関する本や建築奮闘記のようなものが多く、土地の選定・建築工法や業者の選定といった、最も重要な知識を幅広く紹介した本がありません。
宅地建物取引士としての専門知識と、30年以上に渡って勉強してきた建築知識を屈指し、今まさに家を造ろうとする方の一助になれば幸いです。

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